自分時間

映画、ドラマのレビュー、私的見どころ&推しセリフ

タロウのバカ

2019年・119分・ヒューマンストーリー

監督:大森立嗣

出演:YOSHI 菅田将暉 仲野太賀

 

バラエティー番組などで見かける自由奔放なYOSHIくんの映画。

ん-菅田くんや太賀くんいるし観てやるか・・と気軽に観たのですが!!

⚠以下ネタバレあります

エージがアルバイトをする介護施設は半グレ集団による金稼ぎの場所で、劣悪な環境で障害者たちが監禁されています。エージはいう事を聞かなかったという理由で障害者にケガを負わせます。そこに見回りに来た吉岡と小田。「生死の判断がつかない奴は殺せ」と倒れている男性を銃で撃ち、山奥へ埋めました。

 

荒川かな?大きな川と首都高が走る河川敷にパンツ一枚で草むらを歩く少年がいます。彼は戸籍を持たず、学校にも一度も通ったことのないタロウです。

タロウという名前はエージとスギオがつけました。

タロウは人を好きになる気持ちも、生死も、障害もわかりません。わからないというか関係ないのかもしれません。

 

エージはケガのため続けていた柔道を諦めました。

スギオは洋子のことが好きでしたが洋子はウリをやっていました。このお風呂のシーンで私も主人も息が止まる

エージとスギオとタロウは、半グレ集団の吉岡を襲う計画をたてます。三人は動物のマスクをかぶり吉岡を襲います。そして銃を手に入れるのです

銃を手に入れたタロウは・・・

 

 

私的見どころ

  • ダウン症カップルと一緒にすごすタロウ。二人から好きという感情、生死を感じます。
  • 河川敷で白塗りの人達が踊るシーン
  • タロウが母親にキレるシーン
  • タロウが人の死を理解したシーン

 

 

 

私的推しセリフ

  • 「死んだらどうなるの?」「どうもならんだろ、ただ真っ暗、全部終わり」
  • 「お父さんスギオかわいい?」
  • 「生きてる人と死んだ人、どっちが多いかと言ったら死んだ人だよな」
  • 「あいつ言ってた。生死の判断がつかない奴は殺せって。それって自分のことだろ」「それって俺のことかな」

 

 

 

この映画観てYOSHIくんにすばらしい演技力があることにびっくり。ほんと、どこからかリアルなこのキャラを連れて来たのかと思うくらいで演技や演出と思えない存在でした。

そして菅田くんの安定の暴れキャラも申し分ないし、太賀くんの優しさと弱さの中に見え隠れする狂気が素晴らしかったです。

事実上のバッドエンドだったと思うし、見終わった後気分は滅入るし、虐待、暴力、殺人、事故、自殺、育児放棄、強姦と目を覆うシーンも多かったのですが、訴えるものは多かったので、私は観て良かった作品だと感じます。太賀くんのスタイルの良さも拝めたし。

ただ一個だけ、序盤で大物俳優があっけなく殺され、その後の出演もなかったのがさみしかったです。回想とかで、実は道理の通った優しい人で出てくると期待していたのにw

 

 

パラダイス・ネクスト

2019年・100分・サスペンス

監督:半野喜弘

出演:妻夫木聡 豊川悦司 ニッキー・シエ

 

全編台湾ロケの映画だそうです。

映画ポスターで豊悦は何だかシリアスな雰囲気に見えますが妻夫木くんがどんなキャラなのか気になり観た映画です。

テーマ曲は坂本龍一さんが担当されたそう。

 

 ⚠以下ネタバレあります

台湾で静かな生活を送っていた男「島」と、台湾へ逃げて来た男「牧野」の逃避行を描いた作品です。

台湾で静かに生きている島の前に牧野というお調子者の若者が現れます。

馴れ馴れしい牧野を警戒し島は無視をしますが牧野の「あのパーティー会場にいた」という言葉が気になります。

パーティーで警護していた女性を守る事ができなかった島。台湾に来るキッカケを作った事件でもありました。

牧野の面倒を見ることにした島でしたが、牧野が命を狙われていると知り、島は牧野を連れて田園地帯の花蓮に身を隠す事にします。

花蓮で二人は「シャオエン」という女性に出会います。。。。。

 

 

私的見どころ

  • 妻夫木くんの目
  • 豚さん、本物かな。本物っぽい。
  • 台湾の街中の建物
  • 水色に塗った車でドライブに出かけるシーン

 

 

私的推しセリフ

  • ランチュウという品種は特殊なんだ。人間が改良して背びれを取っちまった。頭に大きなこぶがあるだろ。エサを食べる時の姿がひどく滑稽なんだが俺は好きだね。生きるために懸命に泳ぐこいつらの姿を見ている」
  • 「笑った方がいい」

 

 

坂本龍一さんのテーマ曲が優しいながら、孤独な男たちの悲壮感を強めている印象を感じました。

若いころさわやか白シャツが似合う豊悦、若いころチャーミングな妻夫木くんのこの二人が、暴力と泥とホコリと汗と血にまみれた役柄、キレイではないけどやっぱり色気あるなー。

 

私たち夫婦が一緒に行った海外って台湾だけなんですよね。なので台湾がテレビや映画に映っていると嬉しくなります。ぶら下がった豚さん、朝市で見ましたね。あと解体された鳥の毛抜きをされている様子を見たことも忘れられない思い出です。食べ物もおいしかったし、何より建物に興味がそそられ、ずっと上向いて歩いていましたねw

日記:胃カメラ飲んできた

ここ1か月くらい胃の不調があり、人生初の胃カメラを飲んできました。

鎮静かけて寝せて診てもらう気満々でしたが、喉の局部麻酔だけで大丈夫だよと言われあれよあれよという間に手際の良く胃カメラが入ってきました。

 

衝撃の時間でした。

 

管が口から十二指腸の入り口あたりまで入っている感じするし、その先っちょから水が出てる感覚あるし、空気を入れて胃?を膨らんでくるのも、ぅおおおおおおおお!!!って感じ(ゲップしちゃいけない)

 

10分ないくらいの時間だったのですが、終わった時はヘトヘトで二度としたくないと思っていましたが、一晩経って「もう一度あの感覚を味わってみたい」と思っているのです。

 

体の中、管が入って水が出て、空気で膨らまされて、すごい状態になっているけど、ここは病院だし、先生は近くにいるし、きっと体に悪い事ではないだろうからキツイだけで心配はいらないし。

 

これって実は快感なのでは???と。

 

私マゾなのかな。

とにかく胃カメラうまい先生だったんでしょうね

 

胃カメラしたいな。

あの感覚をもう一度って欲しています

 

 

明日から娘が春休みに入るため更新さらに滞るかもですが(しかもまだ確定申告もしていないという)今後も覗いてくれると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

恋の罪

2011年・144分・サスペンス

監督:園子温

主演:水野美紀 富樫真 神楽坂恵

 

園子温さんの作品を網羅していた時に観た衝撃の作品です。1997年に起きた東電 OL殺人事件が原案になっていると聞きました。

3人の女性がとにかくすごかった!!!

⚠以下ネタバレあります

1990年代、東京都渋谷区円山町のラブホテル街には、デリヘルや立ちんぼが客を求めて声をかけていました。 

ある大雨の日、そのラブホテル街にポツンと建っている廃アパートと路地裏で女性の死体が発見されます。切断された人体にマネキンの手足が繋いであります。アパートの壁には血しぶきが飛び、血で「城」と書かれていました。廃アパートで見つかった死体は(後々わかりますが、汚れた部分を取り除くため)女性生殖器クリトリス、大陰唇が切られ、両手両足も切断され、顔はありませんでした。その事件を追う刑事の和子は幸せな家庭を持ちながらもずるずると愛人との関係も続けています。

捜査を進めるうちに、大学のエリート助教授や、売れっ子小説家の妻いずみの秘密を知ります。

小説家の妻いずみは玉の輿ですが、夫の帰りを待つだけの毎日でした。いずみはスーパーでパートを始めます。そこでモデルのスカウトをされますが・・・

いずみは、デリヘル経営のカオルや大学で日本文学を教えている(!)美津子と出会います。

美津子はいずみを誘って夜のホテル街へ行きます。二人の男から声をかけられ、事件のあった廃アパートへ行きます・・・・

3人の女性が社会的にも安定した生活があるにも関わらず、とめどなく闇に堕ちていく映画です。

 

私的見どころ

  • 刑事和子の愛人(;'∀')
  • いずみが自宅で試食販売の練習をするシーン(まじで女優魂を見た!!
  • いずみとカオルが出会うシーン。・・カオルの笑顔の中の猟奇的な目
  • 自殺する女性の頼みで携帯をへし折るシーン
  • 美津子の母

 

私的推しセリフ

  • 「今日はえらくオスマシさんだ」
  • 「売春のほうはうまくいってるの?」
  • 「あなたもセックスという下品な行為に負けてはだめよ」
  • 「あの子の下品な部分を切り取って閉じ込めてあげたのよ」

 

 

水野美紀さんや神楽坂恵さん、富樫真さんが脱ぎますがみなさん素晴らしいです。

正座しちゃいました。もし自分が脱げる女優だったとしても、この体当たりの迫力満点のすばらしい演技なんてできないだろうな(あたりまえ)

もーーー本当素晴らしい。

 

私的にこの映画のタイトルが「恋」ってところがなかなかシブいなと思いました。恋ってつくタイトルだと青春や純愛や片思いとか血を伴わない(鼻血くらい?)映像ってイメージなんですが。これはしょっぱなヌードだし殺人だし怖いしグロいし汚いしって感じで、恋って書いていいのか?って思っていましたが、なるほど恋だったって納得できました。うまく言えない。

サスペンスで、誰も幸せにならないお話でしたが、キャストさんや制作さんたちのパワーがあふれる素晴らしい映画でした。

 

余談ですが私、若いころ円山町の会社に勤めていたんですよね。あのラブホテル街もよくとおっていましたw懐かしい。

 

ノラ

2012年・74分・ヒューマンドラマかな

監督:大庭功睦

出演:染谷将太 三原康可 外間勝

 

重い暗い映画の染谷くんが観たくて選びました。大庭功睦監督の自主制作の映画だそう。自主制作映画って面白いですよねー

⚠以下ネタバレあります

人を刺し、逃げていた足を引きづる少年幸雄が軽トラに撥ねられてしまいます。目を覚ますと軽トラの運転手繁は「お前は俺に借りができたから船の修理を手伝え」と言い幸雄を自宅へ連れて帰ります。

幸雄と繁と繁の娘アカネと数日間過ごします。最初はいやいやながら、おぼつなかい手つきでやっていた修理も日を追うごとに積極的になります。船は何をするためのものか、そしてアカネが運んでくるガーベラの意味は?

 

幸雄の父はアル中でした。母が死んでから暴力の矛先は幸雄に向かい、幸雄は父親から片足を使えなくなるくらい虐待されていました。その父に復讐をしたいと思っている幸雄・・・

 

 

 私的見どころ

  •  繁に弱みを握られている暁と繁のやりとり。二人コンビになった時の絡みが面白い。話が進むにつれて繁がいいやつに見えてくる。そして笑うところなのか暁の真面目な感じ。「早く行け、飯が冷める」の言い方www最後まで観て感じましたが多分暁はアホなんだろうな。
  • 当時17歳の染谷くんのシリアスな演技。大きな瞳と長い睫毛の表情がたまらないです。そうそうこれが私が好きな染谷くんだわと。
  • 父親とのシーン。「死にたいなら勝手に死んでくれよ」と一言だけ言った幸雄。それを聞いた父の沈痛な目。体を殺す復讐より本気で見捨てたという心を殺す復讐だったのかなと。

 

 

私的推しセリフ

  • 「別にさここに連れてくる事ないじゃないですか?何なんですか?嫌がらせですか?もしかして俺のこと好きなんですか?だったらもっと○%×$☆♭#▲※」推しセリフなのに最後わかんなくて申し訳ないです。わかった人教えて下さい。
  • 「10年前お前がデートに使いたいからって借りたのは誰の車だ?」「しげちゃん、しげちゃんのレクサス」「そのレクサスがどうなった?」「海に沈めました僕が」
  • 「車で轢いた甲斐があるってもんですね」
  • 「明日父のところに行きます」「そうか返す」
  • 「人を傷つけるのはこれでたくさんだ。違うか?」
  • 「ケリつけたいならもっと他の方法考えろ。なんだろな?俺だってわかんねーよ。自分で精いっぱい考えろ」

 

 

当時17歳の染谷君の演技力が素晴らしいと思いました。

目や表情、呼吸などただただすごい!!

そして繁役の三原康可さんがステキだなと思いました。他の作品をまた観てみたいです。

震える舌

1980年・113分・医療ドラマ?家族ドラマかな

監督:野村芳太郎

出演:渡瀬恒彦 十朱幸代 若命真裕子

 

破傷風の映画とだけの情報で観てみましたが、とんでもない恐怖の映画でした。

113分正座で観ましたね。まじで気軽に観たらいけない映画です。

ホラーではないけど、ホラーより怖かった。

破傷風の恐ろしさを初めて知りました。

⚠以下ネタバレあります

三人暮らしの家族は埋立地に建てられたマンションに住んでいました。

娘の昌子が近くにある湿地で蝶を追っているところケガをしてしまいます。

数日後、昌子に異常が現れますが、診察で口を開こうとしない昌子の診断は難しく風邪だと診断されます。その夜、様態が急変し痙攣したかと思うと舌を噛んだ昌子の口の中は真っ赤な血で染まります。父は昌子が舌を噛みちぎらないように口をこじ開けて自分の指を入れました。かかりつけの病院では診断が難しく、大学病院に行きます。

診断は破傷風でした。

破傷風は致死率の高い感染病であること、音と光を遮断した隔離室での入院となります。小さな音でも敏感に反応し痙攣を繰り返します。

昌子を救いたい守りたいと思うのと並行して何もできない、見ているしかない、そして自分が感染していたら・・という気持ちの葛藤。

破傷風に侵された昌子とそれを救おうとする家族や医師らの人間模様を描いた映画です。

 

 

私的見どころ

  • 昌子ちゃん役の演技のすばらしさ、リアルすぎる魂のこもった演技です
  • おばあちゃんがみんなに板チョコをわけるシーン
  • 娘を守りたいのに苦しむ様子を見ているだけで何もできずにいることで、精神が崩壊してしまう母親

 

 

私的推しセリフ

  • 「とにかくここにいさしてもらうよ。あんたたちや昌子が痛い思いをしてるっていうのに私が痛くもなんともないなんて申し訳なくて」
  • 「チョコパン食べたい」「なによまちゃ、チョコパンなんて好きじゃなかったくせに」

 

 

映画を観終わってすぐに娘の予防接種を確認しました。

ジフテリア,百日せき,破傷風,ポリオの予防接種の4種混合ワクチンを接種していました。

この4種混合ワクチンは生後3カ月から90カ月(7歳6カ月)までの期間で、合計4回受ける必要があり3~8週の間隔で3回接種するそうです。初回免疫(初めの3回の接種)終了後6カ月以上の間隔をおいて1回接種するそうです。

この有効は10年ほどだそう。

大人も追加でワクチンをうつことが勧められているそうです。海外渡航の場合は特に考えたほうがよさそうです。

私たち家族も夏はキャンプをするので破傷風ワクチンはうったほうがよさそう。この映画を観て本気で思いましたよ・・・

 

それにしても、昌子ちゃん役の子の演技と暗い重い恐怖を感じる音楽がすごい映画でした。

空気人形

2009年・116分・R15

監督:是枝裕和

出演:ぺ・ドゥナ ARATA 板尾創路 オダギリジョー

 

こんなかわいいパッケージなのに、グロ系おススメであったような気がして観てみました

キャスティング神な映画だと思います

 

⚠以下ネタバレあります

古いアパートで秀雄と暮らす空気人形(性欲処理代用品)は、ある朝心を持ってしまいます。

秀雄が外出すると空気人形も着替え街へ外出します。

空気人形が人々とすれ違い交流していくストーリです。

 

空気とは??

 

 

私的見どころ

  • いきなり板尾さーーーん(;'∀')って感じのところ
  • 雨粒を触ってキレイという空気人形の美しすぎる体!!!
  • ベッドで空気を入れるシーン
  • バスで寝てる知らないおじさんに肩を貸してあげるシーン
  • レンタルビデオショップで空気が抜けちゃうシーン
  • ベッドで空気を抜くシーン、入れるシーン(空気出し入れプレイとでも言う?からの
  • ひーーーー痛い痛い痛いからの
  • ゴミ袋・・・

 

私的推しセリフ

  •  「お前はいいな年とらんから。これさっき白髪見つけてしもーた。ショックや。おれお前といつまでエッチできるのかな」
  • 「私は空気人形。型遅れの安物です」
  • 「心を持つのは切ないことでした」
  • 「私じゃなくてもいいんでしょ?」
  • 「めんどくさいのはお前じゃのおて人のほうや」
  • 「春先にまとめて捨てるんだ、燃えないゴミとしてね。ま僕たちだって死んだら(人間も)燃えるゴミだからたいした違いはないんだ」・・・最初のゴミ収集車が伏線か!

 

 

 

板尾さんの役柄が板尾さんにしかできない感じがヤバすぎて空気人形にすぐに感情移入www秀雄はたぶんいいやつなんだけど、板尾さんが醸し出す雰囲気が、、ね。

空気人形がかわいすぎで体がめちゃくちゃキレイなのと、ARATA時代の井浦新くんが若い!余さんとか佑くんもwちょっと前の映画ってキャストの若い頃が観れて楽しいですね~

孤独や苦しさを抱えながら生きている色々な立場の人、境遇の人、とても考えさせられる映画でした。

最後のシーン切なくてグロあったけどなるほどすごい!!

そして空気人形の呼吸で飛んで行ったたんぽぽ綿毛もゾクゾクっとしました。

すごい映画だったなー

 

 

川で老人(高橋昌也さん)に教えてもらった詩を見つけたので記します。

 

        生命は

        自分自身だけでは完結できないように

        つくられているらしい

        花も

        めしべとおしべが揃っているだけでは

        不充分で

        虫や風が訪れて

        めしべとおしべを仲立ちする

        生命は

        その中に欠如を抱いだき

        それを他者から満たしてもらうのだ

 

        世界は多分

        他者の総和

        しかし

        互いに

        欠如を満たすなどとは

        知りもせず

        知らされもせず

        ばらまかれている者同士

        無関心でいられる間柄

        ときに

        うとましく思うことさえも許されている間柄

        そのように

        世界がゆるやかに構成されているのは

        なぜ?

 

        花が咲いている

        すぐ近くまで

        虻あぶの姿をした他者が

        光をまとって飛んできている

 

        私も あるとき

        誰かのための虻だったろう

 

        あなたも あるとき

        私のための風だったかもしれない

                      吉野弘さん詩集『風が吹くと』1977年